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週刊インドトピックス

Vol.0091 Amazon Indiaが起業家とメンターを繋げるサービスを開始

インド最大のスタートアップメディアであるYourStory社の2021年4月11日付けの報道で、Amazon Indiaの新サービスMentor Connectを取り上げています。

 

Mentor Connectの価値とは

Amazon Indiaは4月11日にMentor Connectプログラムのローンチを発表しました。このプログラムは、Amazon Launchpadに登録しているスタートアップや新興ブランドのオーナーの成長を促進することを目的としており、ベンチャーキャピタル企業や業界のベテラン、Amazonのリーダーたちから、専門的な知識の共有、業界専門家とのネットワーキングイベント、3か月間の1対1のメンターシップセッションなどの機会を得ることが出来ます。すでに教育機関やFireside Ventures、DSG Consumer Partners、Elevation Capital、Tomorrow CapitalなどのVC企業からのメンターが登録しており、インドのスタートアップの成長ストーリーに貢献しています。起業家たちは、戦略的および機能的な課題に取り組むために、Mentor Connectのプラットフォームに深くかかわり、学習し、さらには業界をリードする専門家に自分のスタートアップを紹介することが可能となります。

 

 

スタートアップ企業のためのプレミアマーケットプレイス「Amazon Launchpad

Amazon Launchpadとは、Amazonが2015年にローンチしたプラットフォームで、広大なデジタルマーケットプレイス上で小さなスタートアップ企業が自社と自社製品を宣伝するための場所です。様々なツールを提供しており、スタートアップ企業が同じ志を持つ組織とペアを組むことで、成長とコラボレーションを促進します。

Amazon Launchpadのメリットは、顧客にとって、審査を通過したスタートアップ企業が生み出した最先端で革新的な商品を選ぶことができること、そして助けを必要としている中小企業にとって、非常に便利なサービスポイントであることです。Amazonは多くの企業にマーケットプレイスを提供していますが、Launchpadのベンダーは少し特別な扱いを受けています。Launchpadに登録されたスタートアップ企業は、より大きな画像や動画、より広い商品概要欄を使用することができるため、商品にまつわる包括的で独自のストーリーを紹介することが出来ます。また、Launchpadの出品者は、自社広告やAmazonストアフロントのランディングページに特別なウィジェットを設置することで、注目を集める機会が増えます。さらに、同プラットフォームでは「サービス・ハブ」と呼ばれるサービスを通してスタートアップ企業をサポートしています。このハブは、参加ベンダーが生産性を向上させるために、同業界のスタートアップ企業や既存のサービスプロバイダーの支援を受けるためのスペースです。サービスのカテゴリーは、試作品の作成や製造、資金調達や販売など多岐にわたっています。Launchpadに登録するにはいくつかの難易度の高い審査があるようで、それによってAmazon Launchpadに出品できること自体にプレミアがつき顧客からも信頼を得ることができているようです。

現在、Amazon Launchpadでは、30種類の製品カテゴリーにおいて、800以上の新興ブランドが2,000以上の製品を提供しています。これらのブランドが提供する人気のカテゴリーには、健康・パーソナルケア、美容、食料品、家庭用品などがあるようです。

 

 

Mentor Connectプログラムの目的

『Amazon Mentor Connectプログラムの対象者はAmazon Launchpadに登録しているスタートアップや新興ブランドのオーナーに限らず、今後開催されるAmazon Smbhav(※1)サミットにおけるAmazon Smbhav Entrepreneurshipチャレンジの受賞者も含まれる』ようです。第2回の「Amazon Smbhav」は、2021年4月15日から18日まで開催される予定で、受賞者は、「Amazon Mentor Connect」プログラムに関連した特典を受けられる最初のスタートアップ集団となります。

『インドには破壊的イノベーションの鍵となる大規模なスタートアップエコシステムがあり、Aatmanirbhar Bharat(※2)に向けたインドの進歩を加速させている。これらのスタートアップ企業の多くは、社会に変革をもたらそうと情熱を持った起業家になったばかりの人がほとんどで、その過程で直面する幅広い課題に対処するための経験を持ち合わせていない。』と、Amazon India の中小零細企業販売パートナー部門の取締役であるPranav Bhasin氏は述べています。そして『今回ローンチしたAmazon Mentor Connectプログラムでは、スタートアップ企業がビジネスの拡大、盲点の回避、既存リーダーの経験からの学びを経て、デジタルインディアの無限の可能性を引き出すのに役立つ適切なメンタリングを提供することで、その可能性を引き出すためのサポートシステムを構築することを目的としている。』と付け加えました。

また、Fireside Venturesの上級副社長であるPrayag Mohanty氏は『私たちは、草の根レベルの課題を理解し、トレンドを把握し、新興ブランドがこれらの問題を解決する方法を特定したいと考えている。それだけでなく、私たちのようなVCは、新しいブランドやこれから登場してくるブランドに出会う機会を常に探している。』と述べています。

 

Amazon Launchpadに登録されていたり、Amazon Smbhavサミットで受賞するようなスタートアップは優秀で将来有望な企業が集まっています。そのためAmazon Mentor Connectに登録されているベンチャーキャピタル企業にとっても、一線を画す起業家との深い関係性を構築できる場所は魅力的となってくるでしょう。また、スタートアップ企業にとっても、いくら優秀な人材が集まっているとはいえ、スタートアップだからこそ直面する経験したことのない課題を解決するには通常時間と労力を要します。Mentor Connectを通して専門家や同業界の仲間と知識を共有し、課題にかかる時間と労力を縮小することで、成長スピードを格段に上げることが出来ます。その結果インド全体のスタートアップエコシステムにいい影響を与えることが出来るでしょう。巨大ECサイトのAmazonがローンチした新プラットフォーム「Mentor Connect」が生み出すシナジーに期待が高まります。

 

本記事で取り上げたベンチャーキャピタル
Fireside Ventures:https://firesideventures.com/
DSG Consumer Partners:https://dsgcp.com/
Elevation Capital:https://elevationcapital.com/
Tomorrow Capital:https://tomorrowcapital.in/legal

 

※1  Amazon Smbhav:Amazon India主催の中小企業、スタートアップ、イノーベータ向けの自社をアピールするためのイベント
※2  Aatmanirbhar Bharat:Narendra Modi首相とインド政府が定めたウィズコロナ、ポストコロナの経済成長を促進する政策

 

Source:Amazon Indiaがメンタープログラムをローンチ

Amazon Launchpadの説明