India Weekly Topics

週刊インドトピックス

Vol.0099 コロナ禍で需要が増したチームエンゲージメントを率先するTeam Activators

インド最大のスタートアップメディアであるYourStory社の2021年5月8日付けの報道で、チームの結束力を高めるためのアクティビティを提供しているTeam Activatorsを取り上げています。

 

人間関係がもたらす役割とパフォーマンスへの影響

Team Activatorsは2018年に、バンガロールを拠点にVipul Kasera氏によって立ち上げられ、創立からこれまでの3年間で、1,000以上のチームに対してエンゲージメント活動を行っています。

Kasera氏はあらゆる起業活動を通じて、様々なチームと密接に関わってきた中で、チームの人間関係がもたらす役割とそのパフォーマンスへの影響を理解してきました。そして、パフォーマンスの高いチームには、必ずと言っていいほど、優れた信頼関係と結束力が備わっていることに気づきました。しかし、現代の組織では、ほとんどのチームがソーシャルキャピタル(※1)を構築するための努力をしていないと彼は感じていました。

チームエンゲージメントに関する分野には、何か革新的なものが必要と考えたKasera氏は、Team Activatorsを立ち上げ、チームエンゲージメント活動を仕組み化することを目指しました。『Team Activatorsは、チームエンゲージメントの分野における革新的な企業である。我々は、チームビルディングをゲーム化することで、楽しみと学びを融合させ、従来のチームビルディングに革命を起こすことを目指している。』とKasera氏は述べています。

 

Team Activatorsのビジネスモデル

Kasera氏と15人のメンバーからなるTeam Activatorsは、設立からわずか3年の間に、Amazon、Philips、LinkedIn、Walmart、ISB、Zynga、SAP、Microsoft、Razorpay、Accentureなどの企業の1,000以上のチームに対しエンゲージメント活動を行ったと主張しています。

ビジネスモデルとしては、セッションごとのモデルとサブスクリプションモデルの両方を提供しています。サブスクリプションモデルを利用し、継続的にチームエンゲージメントを高めたいと考えている企業もあれば、会社のリトリート、会議、節目のお祝い、R&Rなどのイベント行事に、インパクトのあるチームエンゲージメントを組み込みたいというチームからのその場限りのリクエストを受けることも多いようです。

Team Activatorsのセッションは、通常、参加者一人あたり500~2,500ルピーで提供されます。価格はチームのサイズ、エンゲージメントの期間、エンゲージメントの目標、アクティビティの性質、チームのプロフィールなどの要素が影響するようです。

 

コロナ禍でのチームエンゲージメント活動の役割

2020年3月にインドでコロナウイルスパンデミックの第1波が発生した後、『すべてのオフラインイベントのキャンセルが出始め、1ヶ月も経たないうちに、ビジネスは混乱し、収益見込みはゼロになった』とKasera氏は述べています。

成長していた最中に、一気に会社存続の危機を味わった同社は、プロセスの見直しを始めました。彼らは、バーチャルな世界でチームが直面している新たな課題を解決するために、新しい製品を開発する必要がありました。

Kasera氏は、チームの人間関係やパフォーマンスに大きな影響を与える課題として、孤独感、自宅での仕事の単調さ、長年にわたって蓄積されたソーシャルキャピタルの減少を挙げています。『我々は、振り出しに戻ってバーチャル活動のアイデアを考え出した。それは、物理的に離れた場所にいるチームを、楽しく、包括的な環境に巻き込み、再び仲間意識を高めることができるものであった。』と当時を振り返っています。

チームエンゲージメントをオンラインで行うことは、ニューノーマルの時代が求めているだけでなく、付加価値もありました。Team Activatorsは、オフラインのイベントでは簡単にできない、バーチャルな形で世界中の人々を巻き込むことができるのです。オンラインでのイベントを開催し始めて以来、6ヶ月間で10,000人以上の参加者をバーチャルの世界に巻き込むことができました。

 

Team Activatorsの今後の計画

直接的な競合他社の名前は挙げていませんが、Team Activatorsは、コミュニケーション、コラボレーション、問題解決、創造性、共感など、チームの人間関係のさまざまな側面を解決するために緻密に考え抜かれたアクティビティを提供することで、優位性を保っているとKasera氏は述べています。

今後の予定としてTeam Activatorsは、バーチャルな活動を行うことで、新しい市場への参入障壁を低くし、グローバルな活動を展開していくことを計画しています。また資金調達も計画しているとのことです。

ワークライフバランスへの要求が高まり、感情的なつながりへのニーズが高まっている中、Team Activatorsは、拡大している需要に対応するための準備を進めています。Team Activatorsは、チームビルディング活動を製品化し、顧客企業の従業員が自らエンゲージメント活動を行えるように計画を進めています。

コロナ禍でWFH(Work From Home:在宅勤務)が主流になり、様々な変化に対応せざるを得なくなりました。そのうちのひとつがチームマネジメントや本記事で取り上げたチームエンゲージメントなど人間関係に関わることです。これまではオフィスで直接顔を合わせて働いていたため、自然とコミュニケーションがとれており、些細なミスなどを事前に防ぐことができていましたが、オンラインでの仕事となるとそう簡単ではありません。意識的にコミュニケーションをとらないかぎり、部下や上司、同僚と話す機会は一気に減り、内容も業務的なものだけになってしまいます。その結果チームの結束力や信頼関係が以前のように形成できず、パフォーマンスも落ちてしまいます。ニューノーマルの今、チームの人間関係や心理的サポートに関してより一層注力する必要があるように思います。

 

※1 ソーシャルキャピタル:社会・地域における人々の信頼関係や結びつきを表す概念を指す。

Source:バーチャルなチームエンゲージメント活動を提供するTeam Activators