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週刊インドトピックス

Vol.0130 インドで拡大する結婚式消費需要、その背景は

タイムズ・オブ・インディア紙の記事によると、チェンナイにあるホテルTaj Coromandelはウェディングエキスポ「The Luxury Affair」を開催し、デザイナー服、ジュエリー、高級化粧品、高級車など、結婚式を演出するための様々な展示を行いました。

来場者数も盛況で、結婚式需要の高まりが見て取れます。

飛躍的な経済成長を見せるインドでは結婚式消費需要の高まりも爆発的なものとなっています。

また、現在でもお見合い結婚の文化が多く残るインドでは、新婦側の家族が新郎側にお金を払うという習慣があるなど、結婚にかけるお金の金額も大きいとされます。

2022年では、4月から7月にかけて、全国でなんと40,000件の結婚式が予定されています。

国内での結婚式需要が拡大

チェンナイのホテル、ITC Grand CholaのGM兼、ITC Hotels, southのエリアマネージャーであるZubin Songadwala氏は「2019年第1四半期と比較して、ITC Grand Cholaでは結婚式の件数が飛躍的に増加し、客室収益はほぼ倍増、宴会収入は20%増加しています。」と述べています。

ITC Grand Cholaにとっての独自の強みは、料理以外に、都市の中心部にある大宴会場です。

「多くの人が自宅や農家での結婚式にITCのレストランでケータリングをすることを選んでいます」とSongadwala氏は言います。

また、2021年Netflixで配信のドキュメンタリー番組「拝見!インド式ウェディング」では海外でのデスティネーション・ウエディング(リゾートウエディング)の人気の高まりが取り上げられていましたが、市場の潮流が激しく変動する現在ではすでに新たな傾向、国内でのデスティネーション・ウエディングの需要が生まれているようです。

前述のSongadwala氏は「人の移動がしにくい今、海外でのデスティネーション・ウエディング開催が厳しくなった後、国内でのデスティネーション・ウエディングに対する需要が高まったことが主な売上の拡大要因です。」とも述べています。

GRTホテルズ&リゾーツのセールス&マーケティング担当ゼネラルマネージャー、 Shubhangi N氏は「ビーチやヒルリゾート、文化的に評価の高い都市でのデスティネーション・ウェディングは、今最も求められているものです」と述べています。

「GRT社のマハーバリプラムにあるビーチリゾート”Raddison Temple Bay”とポンディシェリーにある”Raddison Pondicherry”は、夏季シーズンの問い合わせが増えています。また、Great Trails Kodaikanal、Yercaud、Wayanadなどのホテルグループのヒルリゾートも需要があります」と氏は加えています。

寺院の町、タンジャーヴールもウエディング・マップに載るなど、ウエディングの観点からのリゾート需要の高まりが見て取れます。

結婚式の服飾品も売れ行き好調

ホテルラッシュは来年も続くと思われますが、一方、ジュエリーの売れ行きも伸びています。

今年の5月の祝祭「アクシャヤ・トリティヤ」の時期には、夏の結婚式需要に後押しされ、1月から4月にかけて金価格が50%上昇したにもかかわらず、金の売上はコロナウイルス禍前の2019年より25%増加しました。

インドのジュエリーブランド、Tanishqのカテゴリー・マーケティング&リテール担当副主任、Arun Narayan氏によると「この夏、需要の多くは人口400万人以上のTier-1と人口100万人以上のTier-2の都市から生まれています。」とのことです。

さらに、小さな町や半農村の市場では、ジュエリーの購入の60〜70%が結婚式の時に行われるため、今年は需要が急増すると同氏は推察しています。

これに向けてTanishq や kalyanなどのジュエリーブランドは特別なコレクションを発表しています。

同様に、シルクサリーも、家族が結婚式の衣装だけでなく、ギフト用のサリーも購入するため、売上が伸びています。

シルクファッションメーカー、Palam Silksの創業者であるJeyasree Ravi氏は「花嫁が着る儀式用のサリーだけでなく、セミコットン、オーガンジー、ライトシルクの軽いサリーにも高い需要があります」と述べています。

誕生日や記念日にも絹織物で有名なカンジーヴァラムのシルクサリーを購入する人が多いため、販売実績は2019年よりずっと多くなっていると、同氏は付け加えました。

自動車市場には混乱が

また、家族が結婚式のために新しい車を選ぶ時期でもあります。

半導体チップの不足で車の供給がひどく落ち込んでいるため、結婚式の需要が急増し、ディーラーは代用車を販売するようになりました。

チェンナイに拠点を置くある自動車ディーラーはこう言います。「通常、結婚式のためにデモカーや試乗車を提供するのは、選ばれたモデルが納車されるまでに4〜6ヶ月かかるからです。結婚式用にデモカーをドレスアップし、工場から新車が到着した時点で納車するのです」。

 

ソース

衣料品、宝飾品、自動車の売り上げが高い結婚式の鐘が鳴る

海外ウェディングが人気のインドで新郎新婦に密着したNetflixのドキュメンタリー番組「拝見!インド式ウェディング」

インド 拡大する「結婚式市場」について【突撃!隣の彼女の海外ライフ】

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