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週刊インドトピックス

Vol.0029 インド発の気候変動オンラインスクールが投資家の注目の的に。ユニコーン企業に化けることができるだろうか?

インド最大のスタートアップメディアであるYourStory社の2020年8 月14日付けの報道によると、気候変動について世界トップの専門家から学ぶことのできるオンラインスクール『Terra.do(テラ・ドゥー)』が絶大な注目を集めているようです。Terra.doはオンライン旅行プラットフォームであるMakeMyTrip(メイクマイトリップ)の前CPO(最高製品責任者)であるAnshuman Bapna氏、Anshuman氏のインド工科大学ボンベイ校時代のクラスメイトであるMayank Jain氏、そして気象専門家のKamal Kapadia氏、3人の共同創業者によって今年4月に創設されたばかりで、現在シード期でありながらもこれまでにZomato創設者兼CEOのDeepinder Goyal氏、MakeMyTrip創設者兼CEOのDeep Kalra氏、Yulu創設者のAmit Gupta氏、シンガポールを拠点とするベンチャーキャピタルのBeenext、などを含む30人の著名なエンジェル投資家やVCから合計140万ドル(約1億5,000万円)を調達しています。

コースは週10時間、合計12週間で、費用は999ドル(約105,000円)です。授業はすべてオンラインで、ZoomやSlack、Emailを介して行われ、最近卒業したばかりの一期生計20人の中には、スタートアップ支援を行うTechstars(テックスターズ)のパートナーやオースティンを拠点とするソフトウェアエンジニアの教育機関であるHack Reactor(ハック・リアクター)の共同創業者、元Googleの従業員や元CNNで働いていたインド人ジャーナリストなどもおり、さまざまなスキルや経歴を持った人たちが集まっています。

興味深いのは、創設者のAshuman氏が『このベンチャーは多くの点において変わっており、その最も顕著な点としては、PMF(プロダクト・マーケット・フィット:製品と市場の適合性)をまだ模索している段階である、ということです。もしかしたら何か重要なことが隠されているかもという不明瞭な洞察力を持っています。そして、気候については、現時点で誰もこれを“産業”として定義していません。ですから、私が必要としていた資本の種類は、非常に忍耐強く、そして、使命感を持った資本でありました。』と述べていることです。事業の収益性よりもまずは使命感に基づき行動した同氏の想いや意志が投資家にしっかりと伝わっているという点で素晴らしいことだと感じました。

なお、実際アメリカ気象学会が発表した「2019年の気候状態(State of the Climate in 2019)」と呼ばれる最近の報告書によると、2019年は記録上最も暑かった年の一つであり、大気中の温室効果ガスは過去最高レベルに達していることが明らかになりました。また直近の過去10年間は、1800年代半ばに記録が始まって以来、最も暑かったことも明らかになっています。台風や豪雨災害の大規模化、海水温の上昇による水産資源への影響、温暖化による農作物への被害など、新聞やテレビでは毎日のように地球温暖化に関してのニュースが報じられています。実際にインドでは2020年1月以降、大型サイクロンの発生、バッタの大量発生、大洪水など決して気候変動を無視することのできないような状況が続いています。現時点では気候変動に関して意識を向けている層と、気にしていない層が二極化しているように思いますが、現在起こっているような大災害は国民一人一人の生活に直接影響を与える問題であり、このような災害が頻度を増して起こってくるようになると皆の意識や関心も高くなると思います。AppleやMicrosoftのような世界的な一流企業も2030年までに二酸化炭素を発生させない、もしくは、大気中の二酸化炭素を減らすための活動を実施していくことを発表しており、この流れはますます広まっていくでしょう。今後Terra.doがどのような社会的インパクトを与えていくのか目が離せません。

 

Source:著名なエンジェル投資家が注目する気候変動のオンラインスクール、Terra.do