I : ウィズコロナ時代のインド進出戦略
(文責:田中啓介 / Global Japan AAP Consulting Pvt. Ltd.)
1. まずは社内のデジタル化を推進する
2020年は多くの人や企業にとって働き方やビジネスモデルの再定義さえも迫られる大きな転機となりました。リモートワークが当たり前となり、オフィスに行かなくても業務関連データへのアクセスができること、場所を問わず作業ができる環境を整えることが不可避となりました。昨年から「脱ハンコ」が注目されていましたが、ヤフー社は2021年6月に民間企業取引先との契約手続き100%電子署名化を実現したと発表しました。事実、契約手続きにおいては印刷代、収入印紙代、郵送代というコストがかかっていて、さらに押印のための社内調整や郵送の手間、署名済の原本をスキャンしてPDFデータ化し、かつ、ファイリングをする手間を含む、時間という目に見えないコストまでが発生しています。
インドと日本間の原本郵送にかかるコストを考慮すると、クロスボーダーで発生する契約においては、インドの場合、1契約当たり5,000円以上のコストを削減できることになります。インドは日本と同様、「事業者型電子署名(いわゆる立会人型)」が法的に認められており、弊社も昨年から立会人型の電子署名サービスを提供するクライウドサインおよびDocuSignを導入し、ペーパーレス化を進めています。2者以上が署名をする契約書・合意書に限らず、1者が署名する発注書や請求書、社内規定、経費清算書類、会計監査時の確認書類などにも利用できるため、活用しない手はありません。
ウィズコロナ時代では、ビジネスに関わるあらゆる文書を可能な限りデジタル化することからDXがスタートします。社内の業務プロセスを変え、社内規定を刷新し、場合によっては取引先への協力を仰ぐことも必要になるでしょう。そのデジタル化したデータをクラウドフォルダ等のサービスも活用しながらセキュアに保存・管理していく、従業員がどこにいてもデータにアクセスでき、また、必要に応じて取引先とフォルダをクラウド上で共有することでシームレスなデータ共有を実現します。
2. インド人と協業し、社内グローバル化を推進する
これからは、「オンライン・クロスボーダー」という世界観の中でリモートワークを前提とするチームやビジネス連携がこれまで以上に加速する時代です。社内のデジタル化がある程度進めば、次に推進すべきはリモートワーク下で御社に多大な貢献をしてくれるであろう社内外の優秀な人材をいかに獲得していくか、優秀な「個」を繋ぐネットワーク力が鍵となります。
このフェーズにおいて弊社がぜひご提案をしたいスキームが、日本本社の業務を、優秀なインド人と一緒にリモートで協業していく社内グローバル化体制の構築。これから世界の市場を中長期的に牽引するアジア諸国、その中でも圧倒的な存在感と優秀な人材輩出国として知られるインドとの協業を、御社の社内グローバル化戦略の重要な施策のひとつとして組み入れることは極めて大きな意味を持ちます。
もっとも、インド人にとって、日本へ移住することは食文化の違いや家族との関係性からも多くのケースで簡単に決断できることではないため、インド人材がわざわざ日本に移住をして勤務するのではなく、あえてリモートによる業務委託という形態をとることで中長期的な信頼関係を構築するのが良いのではないかと考えています。もし、御社がインド現地法人を有していない場合には、弊社が御社の代わりにインド人材を採用し、人事・労務管理を担い、御社がリスクを取ることなくインド人材を活用いただけるようなパッケージプランをご用意しております。ぜひインド人材を積極活用した、社内グローバル化のための伴走支援サービスをご利用ください。
3. インド企業やインドスタートアップと連携・協業する
インドへの事業展開において、これまでは日系の中堅大手企業を中心に100%独資によるインド進出や、インド企業との合弁会社設立、また、インド企業の株式や事業を買収するM&Aにより進出するケームが一般的でした。一方で、今後増えてくるであろう中小企業によるインド事業展開のひとつの形として、インド企業やインドスタートアップとの連携・協業という選択肢があります。コロナ禍にあっても、これまで以上に世界中からの投資マネーが集まる昨今のインド市場において、大型の資金調達を実施した多くのスタートアップや、資金力が豊富な財閥系企業やそのグループ会社にとって、日本もひとつの魅力的なマーケットであり、日本とインドそれぞれの企業が共同研究や共同開発、事業連携をすることにより、双方が相手国への事業展開の足掛かりとする動きが今後加速していくのではないかと考えています。弊社ではインド企業とのハンズオン連携支援を実施するべく、NDAやPoC(実証実験)契約の締結から、共同研究や共同開発契約などの手続き、技術連携やコミュニケーションの連携支援に至るまでを伴走支援いたします。