Indian Accounting & Taxation

会計税務

D-21. インドの会計年度と会計監査手続き

インドの会計年度と会計監査制度

(文責:吉盛真一郎 / Global Japan AAP Consulting Pvt. Ltd.)

1.インドの会計年度

インドの会計年度は、インド会社法 (Companies Act- 2013 Section 2(41))により、毎年3月31日を末日とする (ただし1月1日以降に設立された会社は、その翌年の3月31日を末日とすることが可能)と規定されています。インドの会社が、インド国外の会社の子会社や関係会社である場合には、連結決算を行う目的で会計年度設定の変更を行うことが可能です。

会計年度設定の変更は、自社の取締役会での決議後、所定の申告フォーム (Form RD-1、申告情報や添付データの不備にともなう再提出時はForm RD GNL-5)に、変更理由を含む必要事項を記載して申告します。インド企業省(MCA : Ministry of Corporate Affair)の地域統括者 (Regional Director)によって、上記登記申請が承認された日から30日以内にForm INC-28の書式に基づいて会社登記局 (ROC : Registrar of Companies) に申告を行うことで変更登記が完了します。

2. インドの会計監査制度

インド会社法第139条 (Section 139 of Companies Act, 2013) の規定により、会社設立の登記が完了した後、30日以内に会計監査人を5年間の任期で選任する必要があり、選任後15日以内に、Form ADT-1を以ってROCに選任登記を行わなければなりません。

なお、監査人のローテーション制度として、資本金の額が1億ルピー以上の非上場会社、資本金の額が5億ルピー以上の会社、および金融機関等から5億ルピー以上の借入金がある会社については、連続した2期(10年間)を超える同一の監査法人、あるいは1期(5年間)を超える同一の監査人(個人)の選任は認められていません。

全ての会社は、選任された監査人による法定会計監査を受ける義務があり、監査人は監査が完了すると、取締役会での承認後に取締役により署名された財務諸表と経営者確認書 (MRL : Management Representation Letter: 監査のために提供された証憑類の正当性等を確認する書類)に基づいて、監査報告書 (Audit Report)を発行します。この報告書には財務諸表にかかる企業経営者の責任および監査人の責任が明記され、また、財務諸表やその他会計書類が会計基準に則って作成されているかどうか、という監査人の評価を総括した監査意見 (Audit Opinion)が表明されます。監査意見は、財務諸表の適正性やそれが会社内外に及ぼす影響の大きさに応じて、下記の4段階に区別されます。

◆無限定適正意見 (Unqualified Opinion/ Unmodified Opinion) :

財務諸表において、すべての重要な点において会社の財務状況が適正に表示されている場合に表明される意見です。

◆限定付適正意見 (Qualified Opinion) :

財務諸表の一部に重大な不適正事項がみられるものの会社内外への影響度が低い場合に当該事項を除いてすべての重要な点において会社の財務状況が適正に表示されている場合に表明される意見です。

◆不適正意見 (Adverse Opinion):

財務諸表に重大な不適正報告がみられ、会社内外への影響度が大きい場合に表明される意見です。

◆意見不表明 (Disclaimer of Opinion) :

財務諸表に重大な不適正報告がみられ、会社内外への影響度が大きく、かつ監査意見を行うのに十分で適当な証拠類を得ることができなかったため、意見表明自体を放棄する意思を示すものです。

通常、会社は監査人による会計監査期間中の指導・助言のもと会計処理を適切に修正していくことで(監査修正仕訳:AJE (Audit Journal Entry)を計上することで)、前述した無限定適正意見を最終的に得ることができるように努めます。

監査報告書と取締役会にて承認された財務諸表は、年次株主総会(※)にて承認を受ける必要があるため、会計監査の進行スケジュールには十分に注意しておく必要があります。

※参考:年次株主総会開催期限に関する規定

◆ 会計年度末日より6か月以内(つまり9月30日まで)かつ前回の定時株主総会より15か月以内(いずれか早い方)に開催する。ただし、会社設立後初めての定時株主総会については、会計年度末日から9か月以内(つまり12月31日まで)に開催することが認められています。

◆ なお、2020年度においては新型コロナウイルスの感染拡大による例外規定として、各々通常より3か月延長されました。つまり、会計年度末日より9か月以内(つまり2020年12月31日まで)かつ前回の定時株主総会より18か月以内(いずれか早い方)に開催すればよく、また、会社設立後最初の定時株主総会の場合、会計年度末日から12か月以内(つまり2021年3月31日まで)に開催することが認められています。

執筆者紹介About the writter

吉盛  真一郎
吉盛 真一郎 | Shinichiro Yoshimori
慶応義塾大学経済学部卒。日本・香港・スリランカ・インドにて、日系企業の経理・財務・総務業務に約14年従事。スリランカにてCSR業務から派生したソーシャルビジネスの起業実績もあり、経営者として管理業務実績を数多く積んでいる。2019年よりバンガロールを中心とした南アジアに強い会計・税務コンサルタントとして日系企業のインド進出を支援している。

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