"Focus" Indian Startup

スタートアップのインド戦略

Vol.16:急成長中のユニコーン企業に見る〜インド物流業界の実態〜

インド物流業界の実態をあらわすイメージ画像

(※著者が独自に作成)

1.はじめに

現代のグローバル化の波の中で、インドが物流業界において目覚ましい成長を遂げています。

長い歴史を通じて国際貿易の中心地として機能してきたインドは、現在、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進により、物流分野における革新的な変化を経験してきました。

伝統からデジタルへと移行し、技術革新を取り入れたインドの物流業界では、AI、ビッグデータ、IoTといった最新技術が物流の各段階を効率化しています。

また、これらの技術を活用するユニコーン企業は、国際市場での競争力を高めると同時に、インド経済の成長に欠かせない存在となっています。

この記事では、インドの物流業界が直面する挑戦と、それらを克服するための革新的なアプローチに焦点を当て、急成長中のユニコーン企業がどのようにして国際的な地位を築いているのか深掘って考察したいと思います。

2.インドの物流(Logistics)業界

ではまず、インドの経済発展において中心的な役割を果たしている物流業界が、特に「メイク・イン・インディア」政策、自由貿易協定(FTA)の拡大、Eコマース市場の急成長によって基盤を形成されつつあることを把握していきましょう。

これらの動きは物流業界の構造を変え、新しいビジネスモデルを生み出し、人材雇用の機会を増やすことでインド経済を発展させてきました。以下では、これら3つの重要な要素がインドの物流業界にどういった具体的変化をもたらしているのか、分かりやすく解説していきます。(*1)

1)メイク・イン・インディア政策

2014年に開始されたメイク・イン・インディア政策は、インドの製造業を活性化するために設計されました。この政策は、外国直接投資(FDI)の増加、製造プロセスの効率化、技術革新の促進を目指し、インドをグローバル製造ハブへと変貌させることを目標にしています。

メイク・イン・インディア政策による製造業の成長は、物流業界に大きな影響を及ぼしており、政策発表後、製造業部門におけるFDIは2016年~2020年の間で約25%増加しました。

メイクインインディア戦略を説明する図式

(*2) Make in India政策

特に自動車、電子機器、繊維などのセクターにおいて、国内外への輸送需要が増えており、部品の供給から完成、配送まで、効率的かつ迅速に輸送可能な物流ソリューションの開発と供給チェーンの最適化に注力しています。

メイク・イン・インディア政策による製造業の成長は、物流業界にとって重要な成長機会を提供し、業界全体の発展を加速させていると言えるでしょう。

2)自由貿易協定(FTA)の拡大

次に、インドが結んでいるASEAN諸国、日本、韓国などとの自由貿易協定(FTA)も物流業階の成長に直接的な貢献をしていると考えます。これらの協定は、関税の削減や貿易障壁の撤廃を通じて、参加国間の貿易を促進することを目的としており、例えば、インドとASEAN間のFTAにより、2010年から2015年の間に、インドからASEANへの輸出は約23%増加しました。

重要なFTAの協力リスト

(*3) 重要なFTAの協力リスト

FTAの拡大は、物流業界に新たな成長の機会をもたらします。特に、インドからの輸出品として人気のある製品(例えば、繊維製品、農産物、工業製品など)の国際市場へのアクセスが容易になることで、これらの品目の物流ニーズが高まってきました。

FTAによる国際貿易の増加は、輸送時間の短縮、コストの削減、リスクの管理など、物流プロセスの最適化といった点でも貿易プロセスの効率化と品質の向上に寄与しています。

FTAの拡大をすることで、関税手続きや国際物流規制への適応に関しても必然的に改善されるべき問題になるため、この政策は国際的な物流業界におけるインドの競争力が向上させるという意味でも中心的な役割を担っています。

3)Eコマース市場の急速な成長

3つ目の要素として、インドのEコマース市場の急速な成長が物流業界にも多大な影響を与えていると考えられます。事実、インドでは増加するインターネット普及率とデジタル化の進展に支えられて2018年~2024年の間に、Eコマース市場の年平均成長率(CAGR)は約18.15%に達していました。

Eコマースの急成長を占めす棒グラフ

(*4) Eコマースの急成長

物流業界と密接に関連しているEコマース市場の成長は、オンライン販売の増加によって、製品の配送や返品管理のニーズを高めています。

特に、最終顧客への迅速な配送を可能にするために、物流業界はより効率的な配送ネットワークの構築と技術革新に注力する必要があります。具体的には、リアルタイムの追跡システム、自動化された倉庫管理、最適化された配送ルートの計画など。

このように、Eコマース市場の急速な成長は、インドの物流業界において、より迅速で効率的なサービスの提供を求める新たな課題を生み出しており、業界の進化を加速させていると言えるでしょう。

3.注目のユニコーン企業

インド全体で製造業やEコマース、物流を革新して行こうという波紋が起きている中、最前線で活躍するユニコーン企業は、ただ商品を運ぶだけでなく、そのプロセスを効率化し、顧客体験を高めるための革新的な技術とサービスを提供する必要があります。

Xpress Bees、Elastic Run、Black Buck、Rivigo、Delhiveryという5つの企業は、それぞれが特有の強みとビジョンを持ち、インドの物流業界において重要な役割を果たしてきました。

それぞれが追求する独自の戦略と、市場のニーズに応える柔軟性が、インドの物流とEコマースの未来を形作る鍵となっています。

以下では、これらの企業がどのように業界をリードし、何を成し遂げてきたのか、その具体的な取り組みと成果について掘り下げてみましょう。

※企業名の下にあるワードは筆者が考えたものです。

Xpress Bees Logistics『Eコマース配送重視の爆速成長サービス』

Xpress Bees Logisticsのイメージ画像

(*5) Xpress Bees Logistics

Xpress Beesは、インドで2015年に設立された物流企業であり、特にEコマース分野に専門特化しています。同社はプネに本社を構え、最終段階の配送、逆物流、支払い収集、ドロップシッピング、ベンダー管理、国際サービス、フルフィルメントサービス、そしてカスタマイズされたソフトウェアソリューションなど幅広いサービスを提供してきました。

以下が、大まかな特徴と重要なポイントです。

・Eコマース分野への特化
・幅広い物流サービスの提供
・急速な成長
・強力なリーダーシップ
・資金調達と収益成長

Xpress BeesはCEOであるアミタバ・サハ(Amitava Saha)氏の指導のもと、2015年~2020年のわずか5年で、日々200万件の出荷を処理、30のビジネスと提携、2,000都市でサービスを提供するといった驚異的な成長を見せています。

また、2021年には約276.5百万ドルの資金調達に成功し、2019年には収益が54億ルピーを記録しました。

Xpress Beesの成功は、優れた顧客サービス、効率的なプロセス、および市場ニーズに合わせたソリューションの提供によるものが大きいです。特に、Eコマース業界の急速な成長に伴い、Xpress Beesは顧客が迅速で効率的に商品を受け取り、返品処理を行うことができるようなサービスを提供しています。

Xpress Beesは革新的なアプローチとリーダーシップのもとで、インドの物流業界における主導的な地位を築き、今後も成長と発展を進めていくと期待されています。

ElasticRun『農村地域デリバリーの救世主』

Elastic Runのイメージ画像

(*6) Elastic Run

Elastic Runは、2016年に設立されたインドの物流および流通スタートアップで、プネに本社を置いています。同社は、余剰の交通・物流容量を活用して構築された柔軟な運送ネットワークを提供し、消費財、食品、製造、Eコマースなど様々な業界にサービスを提供してきました。

以下が、大まかな特徴と重要なポイントです。

・アセットライトモデル
・広範なサービス提供
・技術の活用
・変動市場への対応
・インド全域でのサービス展開

共同創業者にはサンディープ・デシュムク(Sandeep Deshmukh, CEO)、シティズ・バンサル(Shitiz Bansal, CTO)、サウラブ・ニガム(Saurabh Nigam, COO)という3人が関わっており、合計資金調達額は4億3200万ドルに達しています。

1000人以上の従業員を擁しており、2021年4月時点で年間350万ドルの売上高、125,000以上の小売店、300以上の都市で事業を展開してきました。

物流と流通の分野におけるアセットライトモデルとは、自社の物理的な資産(トラックや倉庫など)を最小限に抑えることで、より柔軟かつコスト効率の高い運営を可能にするアプローチを指しています。

このモデルを採用することで、特に変動する市場需要に迅速に対応する能力を高め、固定費用を抑えることが可能になりました。

またElastic Runは、一次流通、二次流通、ラストワンマイル接続など、様々な物流サービスを提供しており、消費財、食品、製造、Eコマースなど多岐にわたる業界のニーズに対応しています。

この国家規模の流通ネットワークは顧客がElastic Runのサービスに即座にアクセスし、新製品の市場投入時間を短縮することを実現しました。

Blackbuck 『トラック版Uber』

Black Buckのイメージ画像

(*7) Black Buck

Black Buckは、インドのトラック輸送業界をデジタル化し、単純化することを目指す物流スタートアップです。2015年に設立され、インド最大のトラック輸送オンラインプラットフォームを構築しています。

以下が、大まかな特徴と重要なポイントです。

・トラック輸送に特化したデジタルプラットフォーム
・オフライン操作のオンライン化
・広範なネットワーク
・多様なサービス
・政策パートナーシップ

Black Buckはラジェシュ・ヤバジ(Rajesh Yabaji)、チャナキャ・ヒリダヤ(Chanakya Hridaya)、ラマスブラマニアム・B (Ramasubramaniam B)という3人の共同創業で設立され、現在、インドの1,200,000台以上のトラックと2,000以上の場所で事業を展開しています。

Black Buckは、貨物のマッチングからトラッキングのインフラ整備まで、トラッキングのオフライン操作をオンライン化する先駆者です。彼らは、トラック運転手が貨物を予約して要領よく仕事ができるようにシステム化し、すべてのサイズの発送業者に適切なトラックを適切な時間と価格で提供することにコミットしています。

世界銀行やインド政府との重要な政策イニシアティブの協力もあり、これには、Goods & Services Tax (GST)やE-Way Billなどが含まれます。これらのパートナーシップは、物流業界の効率化と透明性を高めるための重要な取り組みであり、業界の規制や運営方法の改善に寄与してきました。

Rivigo『長距離ドライバーを救う革新的モデル』

Rivigoのイメージ画像

(*8) Rivigo

Rivigoは、インドの革新的な物流企業で、2014年にグルガオンで設立されました。この企業は、物流プラットフォームを統合し、貨物輸送、トラックロード、サプライチェーン、フレートサービスなどを含む広範囲の機能を提供しています。Rivigoのサービスは、ファッション・ライフスタイル、自動車、FMCG、ライフサイエンス・ヘルスケア、Eコマースなど、多岐にわたる産業に対応が可能です。

以下が、大まかな特徴と重要なポイントです。

・ユニファイド物流プラットフォーム
・幅広い業界への対応
・大規模なネットワーク
・技術とイノベーションに焦点
・トラッキング業界への革新的アプローチ

創業者は、ディーパック・ガルグ(Deepak Garg)とガザル・カルラ(Gazal Kalra)の2人で、ディーパック・ガルグはIITカンプールを卒業し、IIMラクナウでMBAを取得しました。ガザル・カルラは、スタンフォード大学のビジネススクールでMBA、ハーバード大学ケネディスクールで公共行政の修士号を取得しています。

Rivigoは、独自の「リレー・トラッキング」モデルを採用しており、これによりトラックが3倍の距離をカバー、トラック運転手の生活の質を向上させることを実現させた企業です。

リレー・トラッキングは、運転手が休憩するためのピットストップで貨物を次の運転手にリレーすることにより、トラックが長距離をより速くカバーし、効率的な物流を実現するシステムです。

全国に70以上のピットストップと200以上の支店、5,000台以上のハイテクトラックを保有しているRivigoだからこそ実現可能なシステムなのかもしれません。

このようにトラックドライバーの生活条件の改善、HIV、薬物、アルコール依存症のリスク低減など、トラッキング業界の伝統的な問題に取り組んでいるRivigoはインドの物流業界において効率化と人間性を重視した革新的な企業であることを証明しています。

Delhivery『インド初の物流ユニコーン企業』

Delhiveryのイメージ画像

(*9) Delhivery

Delhiveryは、2011年に設立されたインドの物流およびサプライチェーン企業で、グルガオンに本社を置いています。

当初は地元のお店向けのハイパーローカルな急送サービスを提供していましたが、オンライン小売業とEコマースセグメントの急速な拡大に伴い、Eコマース企業向けの物流サービスへと完全に切り替えています。

以下が、大まかな特徴と重要なポイントです。

・Eコマースに特化した物流サービス
・最終段階の配送と倉庫管理
・技術とイノベーションの統合
・フルフィルメントセンターと倉庫ネットワーク
・最後の1マイル配送への取り組み

同社は、サヒル・バルア(Sahil Barua)、モヒット・タンドン(Mohit Tandon)、バーヴェシュ・マングラニ(Bhavesh Manglani)、スラジュ・サハラン(Suraj Saharan)、カピル・バラティ(Kapil Bharati)によって設立されました。

Delhiveryのサービスには、最終段階の配送、倉庫管理、サプライチェーンソリューションなどが含まれており、特にEコマース市場にリソースを割いてきました。

データ分析、人工知能、機械学習を活用して、配送ルートの最適化、配送時間の短縮、ビジネスおよび最終消費者へのリアルタイム追跡など技術革新に力を入れています。

また、Delhiveryは、インド全国に広がる効率的な供給チェーンを構築するため、多数のフルフィルメントセンターや倉庫に大規模に投資しており、様々な業界のクライアントの多様なニーズに対応するためのシームレスな物流システムを実現しています。

最後の1マイル配送の課題に対しては、Delhiveryはルート最適化アルゴリズム、動的な配送時間枠、ギグワーカーの活用などの革新的なソリューションを実施してきました。

最後の1マイル配送とは、商品が物流センターや配送センターから最終的な消費者の手に渡るまでの最終段階の配送プロセスを指します。

この段階は、顧客への直接的な配送を含むため、物流の中でも特に顧客満足度に大きく影響を与える重要な部分で迅速かつ効率的に配送することが特に求められる段階です。

これらの取り組みは、効率性を高めるだけでなく、配送業務の炭素足跡を削減する上でも貢献していると言われています。

4.ユニコーン企業の成長方向性

これまでの内容で分かる通り、インドの物流業界は著しい勢いで成長しているのは確かです。しかしながら、インドには未だ多くの潜在的課題も残っています。

例を挙げると、複雑な税制、交通渋滞、インフラの未発達、環境への配慮と持続可能な物流の実現、地域固有の法規制や市場のニーズの理解などが考えられます。

これらの課題はほとんどが一朝一夕で解決できるほどの問題ではありません。故に、今後のインドの物流業界を担っていくユニコーン企業はこれらの課題を少しずつ克服し、業界全体の進化を促進するために、対応策を取っていく必要があります。

それに伴って、以下では筆者が独自に考えた物流業界におけるユニコーン企業の成長方向性を示しました。

・サプライチェーンの最適化

1つ目は、インドの物流業界におけるサプライチェーン最適化の対応策として、AI(人工知能)と機械学習の活用が重要であると考えます。

特にAIと機械学習は、複雑なデータを解析し、より効率的な配送ルートや物流プロセスをリアルタイムで特定するのに役立ちます。

これにより、交通渋滞の回避、配送時間の短縮、燃料コストの削減が可能になるだけでなく、AIを用いた予測分析によって、需要の変動に基づく在庫管理の最適化にも貢献するでしょう。

さらに、機械学習は、過去のデータからパターンを学習し、将来の需要予測の精度を高めることが出来るため、サプライチェーンの各段階で発生する可能性のある問題を予測し、事前に対策を講じることも可能になります。

下の図でも分かる通り、インドのGDPにおける物流コストの割合は、他国と比べてく数割増しで高く、今後は物流効率の向上にリソースを割かなければなりません。

国の政策で、インフラへの投資は進められていますが個々の企業がAIのような高度技術を駆使することで、国際市場での競争力を高め、さらなる成長と発展を目指せると考えます。

インド、中国、アメリカ、EUのGDPにおける物流コスト割合をしめす棒グラフ

(*10)GDPにおける物流コスト割合

・教育とトレーニング

インドの物流業界が直面する複数の課題に対応するため、ユニコーン企業は教育とトレーニングの強化という部分にも重要な対策を講じる必要があります。この戦略は、業界の持続可能な成長と効率化に不可欠です。

教育とトレーニングの主な目的は、従業員のスキルと知識を向上させることにあり、これには最新の物流技術やソフトウェアの使用方法、効果的な在庫管理、配送プロセスの最適化、エコドライビング技術などが含まれます。

仮に、エコドライビングの訓練を徹底した場合、ドライバーは燃料効率を高め、CO2排出量を削減する方法を学びます。これは環境保護に貢献し、企業の運営コストを削減する策としても十分に機能するはずです。

また、適度な教育とトレーニングは従業員のモチベーションと職場でのパフォーマンスを高めることにも役立つでしょう。

結果的に、従業員が自分のスキルを向上させ、自身の業務により深く関与することで、企業全体の生産性が向上するかもしれません。

持続可能性や企業の社会的責任(CSR)が求められている現代で、インドの物流業界のユニコーン企業は、これらの教育とトレーニングの取り組みを通じ、持続可能で効率的な物流システムを実現することが、業界全体の進化を促進するための一歩になると確信しています。

特に、物流全体の66%がトラックによる輸送を基本にしているインドでは、注目のユニコーン企業で挙げたRivigoのようにドライバーへの配慮が必要となってくるはずです。

貨物輸送のモーダルシェアを表す図式

(*10) 貨物輸送のモーダルシェア

・パートナーシップや政府との連携

最後に、インドの物流業界が直面する課題の中で、特に重要なのが、パートナーシップや政府との連携であると考えます。新興市場や未開拓市場への進出を図る際、これらの連携は業界の成長と進化において不可欠な役割を果たします。

パートナーシップと政府との連携は、物流業界における多様な課題に対処するための基盤を提供します。例えば、地方政府や業界団体と協力することで、必要なインフラの整備や物流ネットワークの拡張を促進することが出来るかもしれません。

これにより、交通渋滞の緩和、配送時間の短縮、そしてコスト効率の向上が期待できます。

以下の図でも分かる通り、広大な国土を持つインドの物流は長距離の離れた地域ごとに主要都市をハブとして輸送網が張り巡らされています。つまり、現地の企業やスタートアップとの提携を通じて、地域特有の物流課題を解決する革新的なソリューションを開発することが必要になるということです。

インドの産業回廊と貨物回廊

(*11) インドの産業回廊と貨物回廊

このようなパートナーシップと政府との連携は、インドの物流業界におけるユニコーン企業が新たな成長機会を掴み、地域経済の発展に寄与するための鍵となります。

これらの取り組みを通じて、インドの物流業界におけるユニコーン企業は、パートナーシップや政府との連携を深めることにより新たな成長機会を掴み、業界の進化と地域経済の持続可能な発展を促進することが出来ると私は考えました。

5.まとめ

本記事では、インドの物流業界における急成長とそれに伴う挑戦、さらにはこの分野を牽引するユニコーン企業の重要性について深く掘り下げてきました。

インドは長い間、国際貿易の中心地としての役割を果たしてきましたが、近年ではデジタルトランスフォーメーションの波に乗り、AI、ビッグデータ、IoTなどの最新技術を駆使して物流業界を効率化し、革新しています。

また、「メイク・イン・インディア」政策、自由貿易協定の拡大、Eコマース市場の急成長などは、インドの物流業界に新しいビジネスモデルをもたらし、経済全体の発展を加速させています。

しかし、一方で複雑な税制、交通渋滞、インフラの未発達などの課題も残されており、これらに対処するためにはユニコーン企業が重要な役割を果たすことが求められるでしょう。

ここで紹介したユニコーン企業は、それぞれ独自の強みと革新的なアプローチで物流業界における主導的な地位を築いています。

今後もインドの物流業界では、これらのユニコーン企業の先導により、国際市場における競争力を高め、持続可能な成長を目指していくことが期待されます。

               

執筆者紹介About the writter

橋口悠雅 | Yuga Hashiguchi
明治大学商学部会計学専攻。貿易・物流ゼミにてゼミ長を務め、リーダーという役割の苦労・やりがいを経験。また、教育業界におけるデジタルインフラ統合をビジョンとした EdTech ベンチャー企業でインターン生として約半年ほどリサーチ・翻訳業務を担当。その後、グローバルな環境でも活躍できるビジネスパーソンになるため、大学を休学し、南インドの当社バンガロール事務所にてインターシップをスタート。市場調査や在インド日系企業・インドスタートアップ企業へのインタビュー等を通じて、インド市場や投資環境、最新のDX動向に関する記事・コラムの作成に携わる。インターンシップの傍ら、USCPAの資格取得に向けた勉強に取り組み、将来的には日本を代表する実業家になりたいと考えている。