Entry Into India

インド基礎概論

A-5. インド駐在員事務所・支店の設立手続について

(文責:安本理恵 / Global Japan AAP Consulting Pvt. Ltd.)

ここでは設立要件の確認後、設立手続きについてご説明します。

(設立要件について詳しくはA-4. インドの支店・駐在員事務所の設立条件・要件および設立前に確認すべき事項をご参照ください)

1.設立申請

承認取引者カテゴリー1銀行(AD Category-1 Bank)*を通じてインド準備銀行(RBI)に所定のフォームFNC*(Application for Establishment of Branch/Liaison Office in India)を下記の添付書類と共に提出します。

添付書類

  • 本社の最新の監査済み貸借対照表
  • 本社所在国のインド大使館またはアポスティーユ・公証人の認証を受けた英訳済登記簿謄本および定款
  • 取引年数を記載した銀行(金融機関)取引証明書(Banker’s Report)また、適宜当該銀行やRBIより追加で書類を求められる事もあります。
    また、本社が財務条件を満たさない場合等、親会社からのLetter of Comfort(LOC)を添付し、財務条件を間接的に担保することで申請することも可能です。(詳しくはA-4.

RBIより設立の承認が下りると、固有識別番号(UIN: Unique Identification Number)が支店・駐在員事務所に対して割り当てられ、設立認可書(Approval Letter)が発行されます。申請から承認までに要する期間については状況に応じて異なりますが1~3か月程度が一般的です。

※承認取引者カテゴリー1銀行(AD Category-1 Bank):特定の目的のために外国為替取引をインド準備銀行から認可されている銀行のことです。大手の銀行は通常この認可を取得していることが殆どです。

*フォームFNC https://rbidocs.rbi.org.in/rdocs/Forms/PDFs/FNC260315.pdf

2.会社登記局ROC登記

外国法人は支店・駐在員事務所の設立から30日以内に会社登記局(ROC: Registrar of Companies)に下記の添付書類と共にeフォーム FC-1を提出し、インドに事業所(POB: Place of Business)設立の登記をする必要があります。

添付書類(英語でない場合は英訳、アポスティーユ認証付与したもの)

  • 本社の定款、約款、登記謄本
  • 本社の取締役のリスト
  • 正式な代表者を指名する旨の委任状または取締役会決議書
  • RBI発行の設立認可書(Approval Letter)
  • その他当局からの認可書等

執筆者紹介About the writter

安本 理恵 | Rie Yasumoto
2014年より北インドグルガオン拠点の現地日系企業で法務や総務、購買等を中心とした管理業務を経験後、インドの法務および労務分野の専門性を深めるべく2018年に当社に参画し、南インドチェンナイへ移住。現在は会社法を中心とした企業法務や、労働法に基づく人事労務関連アドバイス、インドの市場調査業務を担当。2023年3月に退職。

インド基礎概論

A-1 : インド現地法人の設立手続について

A-2. インド現地法人設立後のコンプライアンスについて

A-3. インドでのJV・合弁会社の設立時に注意すべきポイント

A-4. インド駐在員事務所・支店の設立条件・要件および設立前に確認すべき事項

A-5. インド駐在員事務所・支店の設立手続について

A-6. インドの支店・駐在員事務所 設立後のコンプライアンス

A-7. インドLLPの設立条件・要件および設立前に決定すべき事項

A-8. インドLLPの設立手続について

A-9. インドLLPの設立後のコンプライアンスについて

A-10. 日系企業のインド進出状況と今後の動向