Transaction Scheme & Cases

取引スキームや進出事例

H-42 : インドにおけるサービス輸出取引の実務

インドに進出している日系企業のインド現地法人は、日本本社やグループ会社に対して販社機能としての何らかのサービスや人的役務を提供しているケースが多々あります。つまり、インドからインド国外へサービスを輸出していることになりますが、当該サービス取引のGST上の課税関係については税務調査においてよく指摘を受けることが多く、また、税務訴訟に発展するケースが散見されます。ここでは、IGST Act Section 2 (6)に規定される「サービスの輸出(Export of Service)」についてご紹介をすると同時に、日系企業において注意すべき典型事例について解説をしたいと思います。

1.「サービスの輸出(Export of Service)」とは?

IGST Act Section 2 (6)に規定される「サービスの輸出」とは、物品と異なり、物質的な移動だけではない価値の移動をも判断基準におく必要があり、原則、以下①~⑤の条件をすべて満たす活動のことを指します。

  1. サービスの提供者の所在地がインド国内である
  2. サービスの受領者の所在地がインド国外である。
  3. サービスが行われた場所がインド国外である。
  4. サービスの提供者によって、その対価が為替換算可能な外貨で受領されている。
  5. サービスの提供者と受領者がひとつの法人内ではない独立した状態で存在している。

通常、サービスの提供に対しては18%のGSTが課税されますが、この「サービスの輸出」に該当する場合には、GSTが免除(0%)、あるいは、一旦納税後に後日還付請求を実施することができます。GSTを免税処理するためには、輸出に先立って税務当局から該当課税年度におけるLUT (Letter of Undertaking)を事前に取得することで免税適用を受けることが可能となります。なお、当該LUTに基づき、免税扱いとして請求書を発行したにもかかわらず、外貨による請求額に対する支払がなされないまま1年を経過してしまった場合には、その時点で免税措置は取り消され、その日から15日以内に利息とともにIGSTを納付しなければならなくなるため注意が必要です。

2.Vostro口座を通じたルピー建て国際送金について

ちなみに、IGST Act Section 2 (6)に規定される「サービスの輸出」の要件の一つとして、対価が為替換算可能な外貨(convertible foreign currency)で受領されていることと明記されていますが、インド財務省が2019年2月1日に発表した通達Circular No.88/07/2019-GSTにより、インド国外銀行がインド国外に持つVostro口座(freely convertible Vostro account)を通じての入金であれば、インドルピー建送金でもサービスの輸出取引として認められるようになりました(※ただし、ACU(Asia Clearing Union: アジア清算連合)加盟国、ネパールやブータンの銀行からのものは、原則、対象外)

3.販売機能を有する現地法人が担う仲介業務

インドに進出している日系企業において、インド現地法人が日本本社の商品を取り扱う販社としての機能を有し、販路開拓のためのインド市場調査や広報活動、販売促進のためのプロモーション活動など、インド国内でさまざまな業務を行い、日本本社に対して「コミッション(commission)」などの名目で請求をしているケースが比較的多く発生しています。つまり、サービスの受領者(日本本社)はインド国外であるものの、サービスが行われた場所がインド国内であると見なされるケースや、特定のサービスがIGST Act 2017 Section 13(2)およびSection 13(8)bに規定される「仲介業務(Intermediary Service)」に該当する場合には、上述の「サービスの輸出」の判断基準を満たさず、したがってIGST18%が課税されることとなります。なお「仲介業務」とは、ブローカーや代理人、その他物品やサービス提供者の代わりに役務提供を行うサービスのことを指します。

また、サービスの提供者(日本本社)がインド国外であり、かつ、サービスが行われた場所がインド国外であると認められる場合であったとしても、その当該サービスの中の一部分にインド国内で提供された部分が含まれてしまっている場合(=「混合供給(Mixed Supply)」と見なされる場合)には、当該報酬額の全額がGST課税対象となってしまう可能性があります。したがって、サービスの性質によって明確に区分し、請求書は個別に分けて発行するなど、免税処理をするにあたっては、事前に潜在的な課税リスクがないかどうかは念のため専門家にご相談をされることをおすすめいたします。

取引スキームや進出事例

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