Indian Business with COVID-19

コロナ時代のインド進出戦略

I.49-4インドにおけるリモートマネジメント術(チームビルディング編)

1. 新入社員とのコミュニケーション

これはインドに限らず日本でも同様ですが、リモートワークが当たり前となって昨今において、新入社員は入社時からリモートワークとなるケースは増えています。この場合、新入社員にとっては組織の雰囲気を感じ取るのが難しく、誰に何を相談すべきか、報連相の頻度や社内メンバーとの距離感など、細かい塩梅を見極めるのが難しく、また自分自身のことを既存社員に知ってもらう機会も与えられていません。

新入社員がスムーズに会社へ馴染めるようになるために、オンラインでの部署ミーティングを実施することで、新入社員と既存社員がお互いのことを知る機会をつくることが大切です。また、新入社員の方から声をかけるのはハードルが高いため、組織に慣れるまでの間は、新入社員への積極的な声かけやコミュニケーションをとる必要があります。新入社員にも関係者への報連相の仕方などを丁寧に説明し、かつ、徹底させることが大切です。

リモートワークの場合には社員間で業務以外のコミュニケーションをする機会がなくなり、お互いの人となりを知る機会がないため、会社が新入社員に対して積極的に組織の雰囲気を伝える工夫をこらすことが重要となります。

 

2. 社員の状況把握

オフィスであれば「今日は○○さんが疲れた表情をしているな」「△△さんは忙しそうだな」などお互いの状況を把握できますが、メールやチャットだと、相手の状況を正確に知ることができません。また、社員によっては孤立感・疎外感を感じてしまう可能性もあります。

このような事態を避けるため、相手に伝えるときは「言わなくてもわかるだろう」と思わずできるだけ詳しく自分の状況を含めてオープンに情報発信をすることが大切です。一方、メールやチャットを読むときはできるだけ行間を読み、相手の状況を察するように努めることも大切です。とはいえ、テキストベースだけのやり取りでは限界があるため、定期的にZoom面談などを設定して相手の様子を感じ取れる機会を作ったり、Huddleなどの音声チャットツールを使ったりすることが有用です。もちろん、社員によってはテキストのやり取りだけでも十分な生産性を発揮できる性格の人もいるため、ツールの活用と同時に相手の特徴に合わせて柔軟に対応していくことが大切です。

 

3. 他部署・他部門との積極的なコミュニケーション

オフィス勤務の場合には席で雑談をしたりランチへ行ったりすることにより、業務で関わるメンバー以外とのコミュニケーションを行う機会がありますが、オンラインの場合には業務で関わりのないメンバーとコミュニケーションを取る機会がどうしても少なくなってしまいます。

業務で関わりのないメンバーとの交流を促すためには、社内外研修、ゲーム大会等のオンラインでの懇親会などのイベントを実施することにより多くの社員同士が顔を合わせ、コミュニケーションを取れる機会を作ることが有効です。また、社内コンプライアンス委員会などのプロジェクトのメンバー編成時に、敢えて普段関わりのないメンバー同士でコミュニケーションを取れるようなチーム編成に配慮するなども大切です。

執筆者紹介About the writter

木内 達哉 | Tatsuya Kiuchi
東京大学経済学部卒。IT業界での営業職を経て、経営企画室にて予算管理や内部統制整備、法務コンプライアンス業務、また、財務経理部にて海外子会社の経理業務などを含む幅広い経営管理業務に約10年従事。2018年より南インドに移住し、インド会計・税務コンサルタントとして日系企業のインド進出を支援している。2022年7月に退職。

コロナ時代のインド進出戦略

I-49. リモートワーク時代のインド現地法人管理術

I-49-1. インドにおけるリモートマネジメント術(ツール活用編)
I-49-2. インドにおけるリモートマネジメント術(スケジュール管理編)
I-49-3. インドにおけるリモートマネジメント術(クオリティ管理編)
I-49-4. インドにおけるリモートマネジメント術(チームビルディング編)
I-49-5. インドにおけるリモートマネジメント術(人材育成編)

I-50. オンライン・クロスボーダーによるインド人材活用