Indian Business with COVID-19

コロナ時代のインド進出戦略

I.49-3インドにおけるリモートマネジメント術(クオリティ管理編)

1. スタッフの理解度を念入りに確認する

インドでスタッフに何か新しい業務を依頼したとき、納得していないにも拘らず”OK sir” “Well noted”などと返事をされ、結果的に間違ったアウトプットが出てきてしまうことがよくあります。“OK”と言われたときに、本人に業務の依頼内容を念のため再度説明させ、OKの意味を正確に把握することが大切です。そのためには、まず業務を依頼するときに、なぜその仕事が必要で、なぜその期限までに仕上げなければならないのか、遅れるとどのような問題が発生するのかを具体的に説明することが必要です。

例えば、日本では「念のため早めに対応しておきましょう」と言えば詳しく説明しなくても理解してもらえますが、インドでは「状況が変わる可能性もあるため、期日ギリギリに対応すれば良い」という考え方をする傾向があるので、正確に期待値を伝える同時に、その期待値の背後にある経緯や理由について詳細に説明する必要があります。

 

2. 回答の根拠を確認する

インド人スタッフに質問をすると、人によって回答の内容やその質、粒度にバラツキがあり、必要な回答がすぐに得られない場合があります。従って、高い正確性が求められる情報を確認したい場合には、複数のスタッフに同じ質問をし、根拠を聞き、それぞれの回答を比較して矛盾点があれば掘り下げて確認することが必要です。

例えば、弊社のような会計事務所の場合には、税務上の取り扱いについてスタッフ間で見解が異なる場合があるのですが、その場合には根拠法令や通達、場合によっては過去の判例等を調査することに努め、スタッフの経験だけに頼らないようにします。

 

3. スタッフの強みを活かした組織づくりをする

これはインドにも日本にも当てはまる、世界共通のことですが、スタッフの強みに着目することが大切です。スタッフの苦手なポイントを繰り返し指摘しても改善はなされず、業務のクオリティは上がりません。生産性を向上させるためには、各スタッフの強みと弱みを把握し、弱みについては他のスタッフでカバーし、それぞれの強みを活かした組織づくりをすることが必要です。経営学者のピーター・ドラッカーも、弱みではなく強みに着目することが大切であると繰り返し説いています。

 

部下の弱みに目をむけることは、間違っているばかりか無責任である。上司たるものは、組織に対して、部下一人ひとりの強みを可能なかぎり活かす責任がある。そしてそれ以上に、部下に対して、彼らの強みを最大限に生かす責任がある。

出典:「経営者の条件」 P.F.ドラッカー P126

 

例えば、ホスピタリティは高いがケアレスミスを繰り返すスタッフのAさんに困っているとします。一方、社内を見渡すと、少しアグレッシブな性格でトラブルを起こすこともあるものの、細かい問題点に気づき指摘することに長けたBさんがいるかも知れません。この場合、Aさんに対してケアレスミスをなくすよう繰り返し要求してもケアレスミスは簡単には減らないため、それよりもAさんには「多少間違えてもいいから早く終わらせて欲しい」と伝え、Aさんの成果物をBさんにチェックしてもらう方が早く正確な成果物が出来上がります。本人の性格や長所、希望するキャリアや経験に基づき、必要に応じて部署異動や、本人の強みを生かせるポジションを会社が準備することが有効です。

執筆者紹介About the writter

木内  達哉
木内 達哉 | Tatsuya Kiuchi
東京大学経済学部卒。IT業界での営業職を経て、経営企画室にて予算管理や内部統制整備、法務コンプライアンス業務、また、財務経理部にて海外子会社の経理業務などを含む幅広い経営管理業務に約10年従事。2018年より南インドに移住し、インド会計・税務コンサルタントとして日系企業のインド進出を支援している。

コロナ時代のインド進出戦略

I-49. リモートワーク時代のインド現地法人管理術

I-49-1. インドにおけるリモートマネジメント術(ツール活用編)
I-49-2. インドにおけるリモートマネジメント術(スケジュール管理編)
I-49-3. インドにおけるリモートマネジメント術(クオリティ管理編)
I-49-4. インドにおけるリモートマネジメント術(チームビルディング編)
I-49-5. インドにおけるリモートマネジメント術(人材育成編)

I-50. オンライン・クロスボーダーによるインド人材活用