Indian Business with COVID-19

コロナ時代のインド進出戦略

I-50. オンライン・クロスボーダーによるインド人材活用

(文責:田中啓介 / Global Japan AAP Consulting Pvt. Ltd.)

1.オンライン・クロスボーダーにおけるインド人材獲得競争

コロナ禍で加速する世界のデジタル化。世界からは「周回遅れ」とも揶揄されてきた日本企業のデジタル活用ですが、コロナ禍でビジネスのオンライン化やデジタル化が急速に進むにつれて、新しい顧客体験価値の創出やデジタル技術を活用した新しいビジネスモデルの変革に取り組む日本企業が増えています。

このような状況において、最も大きな日本の課題として挙げられるのがIT人材不足です。国境を超えたIT人材獲得競争が繰り広げられている中で、日本は少子高齢化による労働者人口の縮小と同時に、外国人IT人材の活用において大きな遅れをとっています。

私たちが拠点を構えるチェンナイやバンガロール、ハイデラバードはIT集積地としても注目されている地域で、GAFAを筆頭に世界の名だたるIT企業が研究開発拠点を構える、優秀なIT人材の宝庫です。

IT人材に限った話ではありませんが、日系企業がグローバル展開を見据えて世界と戦っていくためには、優秀なインド人材を積極的に起用していくことが極めて重要なグローバル戦略のひとつであると私たちは考えています。

2.クロスボーダーによるインド人材直接雇用リスク

インド人材を雇用するにあたっては、当該労働にかかる日印における準拠法の問題や、PE課税リスクの観点から、インド現地法人を持たずして日本本社がインド在住のインド人をクロスボーダーで直接採用をする、という選択肢は推奨されていません。

つまり、インド人がビザを取得して日本に移住することを前提に日本本社で採用するか、もしくは、インド現地法人を設立してインド国内で採用するかのいずれかの選択肢となります。

もっとも、クロスボーダーでの起用であっても、半年以内の短期限定の業務委託契約という形であれば、労働にかかる準拠法の問題をクリアをしつつ、PE課税のリスクを軽減させることが可能であるため、例えば、インド現地法人が設立されるまでの期間のみや、日本への渡航が実現するまでの一時期のみを業務委託契約ベースで起用することは経営判断としては検討に値するものと考えています。

3.業務委託を前提としたインド人材活用の際の注意点

上述のとおり、業務委託契約を前提としたインド人材の活用に際してはPE課税リスク、特に「場所PE」と「代理人PE」の点において注意が必要であると考えています。

「場所PE」については、半年以内の契約のみであれば場所PEとして認定される可能性は低いと言えるものの、当該インド人が勤務できるオフィス環境が日系企業によって提供されている場合は注意が必要です。

また、「代理人PE」については、日本本社の代わりに当該インド人材が日本本社名義による契約の締結にかかわる重要な役割を担っている場合に代理人PEとして認定されてしまう可能性があり、また、法的かつ実質的に日本本社に従属・依存していると見なされる場合においても同じく代理人PEと認定されてしまうリスクがあります。

つまり、法的にかつ実質的に日本本社に従属・依存していない「独立代理人(Independent Agent)」である場合には代理人PE課税のリスクはありません。

なお、法的にそして実質的に独立しているとは見なされない状況としては、以下のようなものが想定されます。

「法的に」独立していると見なされない状況

  • 提供された業務の責任が日本本社側にある
  • 日本本社側が指揮・命令権を有している
  • 日本本社側が勤務場所や休日に対する決定権を持っている

「実質的に」独立していると見なされない状況

  • パソコンやその他業務に必要な備品を日本本社が買い与えている
  • インド人材が業務を自己の責任で完結できない場合(新卒など)

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